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１．「遺言書」とは？

「遺言書」の中には、大きく分けて２つの「方式」があります。ひとつは「自筆証書遺言」、もうひとつは、「公正証書遺言」です。

２．「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」のちがいは？

「自筆証書遺言」とは、紙に「遺言書自身」が「全文・日付・氏名」を書き、「印鑑を押す」ことで成立する遺言書の方式です。
「自筆証書遺言」は、紙・消えにくい筆記具（ボールペンなど）・印鑑があれば作成でき、費用もかかりませんので、比較的簡単に作成することのできる遺言方式です。
　ただ、自筆証書遺言は、作成された後にどこかに「不備」があると、その遺言書は「無効」となってしまう可能性があります。
では、「公正証書遺言」とはどのような遺言の方式なのでしょうか？
「公正証書遺言」は、「公証役場」という官公署において、遺言者が「公証人」に遺言内容を伝え、証人２名の立会いの下、「公証人に遺言書を作成してもらう」遺言書のことです。
「公証人」には、裁判官や検察官などの法曹界を退官した法律の専門家が多く就任しています。
　先ほどの自筆証書遺言とはちがい、法律の専門家である「公証人」が遺言内容を確認し作成しますので、遺言の効力が無効になる可能性がほとんどありません。また、遺言書が公証役場で保管されますので、紛失の恐れもありません。ただ、自筆証書遺言とはちがい、遺言書作成費用などが発生します。

３．結局「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」のどちらがいいの？

どちらの方がいいとは一概には言えません。みなさまの財産の状況・家族構成などにより、判断する必要があります。以下に、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の主な長所・短所をまとめていますので、参考にしていたければと思います。

【自筆証書遺言】

◯長所

1. いつでもどこでも書ける。
2. 遺言を作成したことや、内容を秘密にできる。
3. 費用がほとんどかからない。

●短所

1. 紛失したり、発見されない場合がある。
2. 方式に不備があると無効になる。
3. 変造される恐れがある。
4. 家庭裁判所で「検認」手続きが必要。（ただし、法務局で保管した場合は不要。→「自筆証書遺言保管制度」については後日お話いたします。）

【公正証書遺言】

◯長所

1. 公証人が作成するので、安心できる。
2. 公証役場で保管されるので、紛失・変造の恐れがない。
3. 検認の手続きが不要。
4. 公証人の出張制度がある。

●短所

1. 証人が立ち会う以上、絶対に秘密にできない。
2. 費用がかかる。
3. 変造される恐れがある。
4. すぐには作成できず、少し時間がかかる。